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げんだいにんじゅつでん

現代忍術伝

坂口 安吾

「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页

青空文庫

進駐軍関係の用材であるから、輸送も優先的、伐採が輸送に追われるほどスピーディに動いておる。運賃も人件費も格安であるから、オレの材木は安いぞ。三千万円ほど譲ってやるから、手金を持ってくるがよい。社長をつれてくるのがよいな」

親分は才蔵の返答などはトンチャクなく、

「サルトル。自動車をよべ」

「ヘエ。用意してござんす」

電光石火。四名は車中の人となって、仙石原を突ッ走り、峠を越えて、箱根の山裏の丘陵地帯へでる。杉山である。丘陵にかこまれた小さな平地へ乗りつける。ここが伐採本部で、石川組作業場という白ペンキ塗りの木杭が立っている。トラックの来往はげしく、活気が溢れている。

石川親分、現業員に敬々しく迎えられて、ちょっと視察していたが、作業場の主任をつれて戻ってきて、また自動車を走らせる。

「これから一周するところを天草商事へ売ってやる。よく見ておけ。目通り八九寸から一尺が多いが、尺上、尺五上もかなりまじっておる。全部で何石ぐらいかな、六万か七万石、そんなところだろう。望みの期日までに、東京の指定の場所へ送りとゞけてやるぞ。どうだ。男児の生きがいを覚えるだろう。