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げんだいにんじゅつでん
現代忍術伝
「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页
お待ちしていますよ」
と、いとニコヤカにサルトルを送りだす。毎月一回の食焔会など、そんなものは有りゃしないが、彼らにとって、言葉というものは無を実在せしめるところにのみ真価があるのである。
「サルトルさんて、ニコヤカなアンチャンだね。ゼンゼン喋らねえなア。あれで渉外部長かねえ。ハハア、英語で喋りまくろうてんで、日本語を控えているのだねえ」
「小田原の奇流閣へ電話をかけておけ。この四人に、婦人社員五六人。明日一時ごろ出発だ。団子山に今夜のうちに料理の支度をさせておけよ」
と天草次郎が才蔵に命じる。
「いけねえ。オレも行くのかな」
「あたりまえだ」
「寝ションベンジジイは半平の係りだから、オレはもう知らねえや」
「ハッハッハ」
半平は不得要領に、しかしニコヤカに笑っただけであった。
その七 箱根に於て戦端開始のこと
石川長範はサルトルとゴリラの熊蔵、それに二号をつれて小田原の奇流閣へやってきた。こゝは由緒ある邸宅を買って旅館営業をはじめたところ、まだ世間には名が知れないから、ほかにお客もいないようだ。
「ここは天草商事の経営かい」
と、サービス係りの婦人社員にきいてみると、いゝえ、という返事。