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げんだいにほんのしそうたいりつ
現代日本の思想対立
戸坂 潤
「現代日本の思想対立」今日の問題社、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,540 字 · 245 页
一六 「農村対策」のからくり
そうした「日本」の礎となるものが所謂「農村」なのであって、農村匡救の淵源は実にここに存すると云わねばならぬ。
私は、農村の貧窮を見て、雀躍して「匡救」に乗り出す者の側を見たのだが、同じく匡救に乗り出すにも、本当に悲歎に咽びながら乗り出す側に就いては述べることを避けた。
(一九三五・二)
一六 「農村対策」のからくり
社会を都市と農村(山漁村を含む)とに分けることは現代の日本における最も有名なお伽噺しである。なるほど東京といえば銀座や浅草を見物し、田舎といえば田圃や芋畑を見物するとすれば、この区別は疑うべからざる真理を有っている。これは確かに社会的な区別としては本当なのだ。或いはもっとやかましくいうと、社会学的カテゴリーとしては二つの区別は非常に尤もなのだ。
ところで一体、このカテゴリーは経済的な範疇にぞくするのかそれとも政治的な範疇にぞくするのか、と問われると、大抵の「都市対農村」論者は一寸返事が出来なかろうと思う。
「都市対農村」論者によれば、都市も農村も、社会的と経済的と政治的とのカテゴリーがチャンポンになったもののことであるらしい。都市といえばブルジョアジーのことのようにも思えるし、中央集権の中心地のような気もするし、また花やかなカフェーやデパートのことだとも考えられるらしい。