轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

せいあらば

生あらば

豊島 与志雄

「文章世界」1917(大正6)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,046 字 · 47 页

青空文庫

それが、次第に着物をつけ、着物を重ぬるに従って、人間の身体から力が、輝いた力がぬけて来たんだ。そして失った力の跡に大きい空虚が残されたんだ。空虚や微力はいつも悪徳なんだ。吾々の精神に就いてもそれと全く同一じゃないか。」

「それじゃ裸体に帰るんだね。」

「そうさ。然しまさか裸体で歩けもしないが、兎に角心の衣を捨てることは最も大切なんだ。其処には身体の裸体に於ける如き官憲の干渉はない。そして其処から本当の愛や仕事が生れて来るんだ。」

或る玩具屋の飾窓の片隅に、小さな羽子板が沢山並べられていた。川部はふとそれに眼を止めた。

「おい一寸。」

壮助も彼に続いてその前に足を止めた。羽子板には役者の似顔が、赤と白と紫とを重な色調とした絹で造られていた。弁慶や仁木弾正やめ組の辰五郎や野狐三次や、政岡や朝顔などのもあった。それは雛人形の飾り附けの一部をなしていたのがそのままに取り残されているものらしかった。そして今種々な玩具の並べられている所には、恐らく二三日前まで、幾組もの雛人形が、紅絹の段の上に黒塗の枠の中に並べられていたであろう。

「あの小さな羽子板はいいね。いくら位するもんだろう。