轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

せいあらば

生あらば

豊島 与志雄

「文章世界」1917(大正6)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,046 字 · 47 页

青空文庫

」

壮助はもう何にも考えなかった。ただ古谷に逢ってどうにかしなければならないという思いが、彼をぐんぐん下宿の方に引きずった。

下宿に帰るとお婆さんがすぐに出て来た。

「まあ今迄何処にいらしたのです。」

「何かあったんですか。」

「そら例の古谷さんが早くから来てね、先刻まで待っていたのですよ。お帰りがないから怒っていきましたよ。」

「そうですか。」

まだ何か云いたそうにしているお婆さんに壮助はただそう云ったまま、黙って自分の室に上っていった。そして火鉢の側にあった客座蒲団を室の隅に投り出した。

彼は何かに対して怒鳴りつけたくなった。然し怒りの対象となるべきものは何にもなかった。そして大きい不安が彼の全身を包んだ。凶なる予感が彼の心を苛々さした。その中で彼は物に縛られたようにぼんやり首を垂れて腕を組んだ。

四

そのままの気持ちが彼の夢の中に続いた。それから翌日眼が覚めてからも続いた。

不安な予感で学校に出で、不安な予感で再び学校から帰って来ると、彼の机上には、わざわざ書留にした一通の封書がのっていた。古谷の名前を裏に見た時、壮助は却って或る安堵を覚えた。