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いきぬくちから

生きぬく力

小川 未明

「新児童文化 第1冊」1940(昭和15)年12月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,352 字 · 11 页

青空文庫

けれど、おじいさんも達者であれば、孝二は、じきに中学を卒業するのでした。ある日、同窓会があって、ひさしぶりで母校に集まり、なつかしい先生を取り巻いたのですが、顔を合わせたのは、わずか十五、六人に過ぎなかったばかりでなく、東も、小原も、有田も、見えないのが寂しかったのでした。この日、孝二の立っていったことは、つぎのようなものでありました。

「私は、生きぬく力というものを感じました。それは、学校にいる時分、先生からも聞いた、健康で、まじめに働くということですが、同窓の小泉くんについて、最近私は胸を打たれました。諸君の知られるごとく、小泉くんは、学校にいる時分から働いていたのです。卒業後は、上の学校へはいかずに働いていたようですが、なにをしていたか知りません。三年ばかり前、一度途中であったときは、小僧さんのようなふうをしていました。

『いそがしいかね。』と、聞くと、

『うん。』といいました。

『体を大事にして、働きたまえ。』というと、笑って、別れてしまったのでした。ところがこれは、このあいだのことです。

それは日曜の午前でした。天気がいいので、往来は、いつになく人出が多く、カメラを下げて出かける青年などを見受けました。