轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
せいしまんじどもえ
生死卍巴
国枝 史郎
「雄弁」1928(昭和3)年9月~1929(昭和4)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,598 字 · 182 页
嘶きの声がしたかと思うと、ドッと横仆しに馬が仆れ、乗っていた敵がとんぼ返って落ちた。
と、その仆れた馬の胴へ、他の馬が躓いて乗ってきた敵が不覚にも、ズルズルと馬背を辷り落ちた。
と、その馬の背の辺りへ、手甲を穿めた二本の腕が、素早くかかったと思ったが、その時には一人の旅装いをした武士が、既に馬背に乗っていた。
そうしてその次の瞬間には、丹生川平の郷民達の群から、数間先を走っていた。
他ならぬ宮川茅野雄である。
驚き周章た大勢の声が、ひとしきり背後で聞こえたかと思うと、すぐに弦音が高く響いた。
丹生川平の郷民達が、茅野雄を射って取ろうとして、半弓を数人で射かけたのである。
しかし彼らは周章ていた。で、狙いが狂ったものと見えて、走って行く茅野雄の左右と頭上を、空しく征矢は貫いた。
が、その次の瞬間には、大勢の追って来る蹄の音が、茅野雄の後から聞こえてきた。と思う間もあらばこそであった。走って行く茅野雄の右と左へ、馬の首が数頭現われたが、見る見る茅野雄を追い抜いて、数間の先へ現われた。次々に数を増して来る。
茅野雄は武術の一通りには、達していることは達していたが、馬術は精妙とは云われなかった。