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せいしまんじどもえ

生死卍巴

国枝 史郎

「雄弁」1928(昭和3)年9月~1929(昭和4)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,598 字 · 182 页

青空文庫

茅野雄は洞窟の入り口まで来た。

(いずれは番人がついていて、承知して入れてはくれないだろう。が、ともかくも様子だけでも見よう)

茅野雄はこういう心持から、この夜一人でこっそりと、ここまで辿って来たのであった。

さて、洞窟の前まで来た。

茅野雄は入り口から覗いて見た。暗い暗いただ暗い! 恐らく神殿の設けられてある洞窟内の奥までには、幾個かの門や番所があり、道とて曲がりくねっていて、容易に行けそうには思われなかった。

(行ける所まで行ってみよう)

で、茅野雄は入り口へ入った。

が、その時背後にあたって、ゾッとするような感じを感じた。

と、思う間もあらばこそであった。数人の人間が殺到して来た。

「…………」

無言で洞窟の入り口から、外へ飛び出した宮川茅野雄は、これも無言で切り込んで来た、数人の人間の真っ先の一人へ、ガッとばかりに体あたりをくれて、仆れるところを横へ逸れ、木立の一本へ隠れようとした。

意外! そこにも敵がいた。

閃めく刀光! 切って来た。

鏘然! 音だ! 合した音だ!

白皓々

切って来た鋭い敵の刀を、抜き合わせて茅野雄が払ったのであった。

茅野雄は巡った! 木立を巡った。