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せいしまんじどもえ
生死卍巴
国枝 史郎
「雄弁」1928(昭和3)年9月~1929(昭和4)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,598 字 · 182 页
こいつらを江戸へ残して置いては、どんなことをやり出すか分らない。旅へ一緒に連れて出たところで、手助けにも何にもなりはしないが、江戸へ残して置くよりはいい)
で、四人は旅へ出て、辿り辿ってこの曠野へまで、今や姿を現わしたのであった。
(本来あの品は二つある品だ。二つあると飛び離れた価値になる。刑部老人はその素性から、また商売の関係から、あの品物の二つあることを、心得ているに相違ない。その刑部老人が、飛騨の国へ来たのである。ではあるいは飛騨の国に、もう一つの品があるのかも知れない。それを得ようとして来たのかもしれない)
(そればかりか千賀子までも一緒に来たそうだ。千賀子に至ってはあの品物の、どういう品物であることか、どれだけの価値のあるものかを、自分の物のように知っているはずだ。その千賀子が刑部老人と一緒に、この飛騨の国へ来たのである。では、いよいよもう一つの品が、この国にあるものと見てよかろう)
道々勘右衛門はこう思って、好奇心と興味と慾望とを起こし、自分こそ失った例の品と、そのもう一つの品物とを、手に入れようと希望したりした。
こうして今や曠野まで来た。