轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
せいしまんじどもえ
生死卍巴
国枝 史郎
「雄弁」1928(昭和3)年9月~1929(昭和4)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,598 字 · 182 页
しかもそういう茅野雄の前には、無数の郷民が打ち物を揃えて、隙があったら切り込もうと、ひしめき合っているのであった。
そういう郷民達の群の中に、ひときわ背高く見えている、妖精じみた老人があったが、他ならぬ宮川覚明で、杖を頭上にかかげるようにすると、
「神殿の扉を無断で開け、アラ神を曝露した涜神の悪人、茅野雄は教法の大敵でござるぞ! 神も虐殺を嘉納なされよう! 何を汝ら躊躇しておるぞ! 一手は正面からかかって行け! 一手は左からかかって行け! そうして一手は右からかかれ!」と、狂信者特有の狂気じみた声で、荒々しく叫んで指揮をした。
それに勇気をつけられたのであろう、三方から郷民達は襲いかかった。
その結果行なわれたことと云えば、正面から襲って行った一手の勢が、茅野雄のために切り崩され、なだれるように下りたのに引かれて、茅野雄も下へ下りた隙に、左右から襲って行った二手の勢が、段上を占めたことであった。
下へ下りた茅野雄を引っ包んで、郷民達の渦巻いている姿が、こうしてその次には見受けられたが、しかしその次の瞬間には、渦巻が左右に割れていた。
と、その割れ目を一散に走って、黒石の方へ行く者があり、やがて黒石の上へ、片足を掛けて休んだ者が見られた。