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せいしまんじどもえ
生死卍巴
国枝 史郎
「雄弁」1928(昭和3)年9月~1929(昭和4)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,598 字 · 182 页
「醍醐弦四郎お約束通り、貴殿を付け狙い致してござる」
矢文に書いてあった文字である。
で、茅野雄は顔色を変えて、突っ立ったままで考え込んだ。
思い出されるのは、いつぞやの晩に、醍醐弦四郎という浪人者に、突然切ってかかられたあげく、
「あの巫女が占いをいたした以上は貴殿にはほとんど間違いなく、その『何か』を手に入れようとして、努力をなさるようになりましょう。と、拙者とは必然的に、競争をすることになりましょう。もしもそのようになった際にはいつも貴殿の生命を巡って、拙者の刃のあるということを、覚悟をなされておいでなさるがよろしい」と、このように云った言葉であった。
(それでは醍醐弦四郎という男は、俺と敵対をするために、このように飛騨の山中まで後をつけて来て矢文を射て、俺を脅迫しているのか)
茅野雄は何となく肌寒くなった。
(どうして俺が江戸を立って、飛騨の山中へ入り込んだことを、あの男は探り知ったのであろう?)
これが茅野雄には不思議であった。
(しかし俺は巫女の占いを奉じて、飛騨の山中へ来たのではない。叔父の一族に逢おうとして、飛騨の山中へ入り込んだのだ)
とはいえ結果から云う時には、