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せいしまんじどもえ

生死卍巴

国枝 史郎

「雄弁」1928(昭和3)年9月~1929(昭和4)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,598 字 · 182 页

青空文庫

男達の凄じい殺気立った顔と、虐殺することを喜んでいるらしい、男達の悪鬼じみた態度とは、茅野雄をして口をひらかせて、事の真相を弁解させるべく、無駄であることを思わせた。

五人を切った宮川茅野雄

(こうなってはもういけない! 相手を切らなければこっちが切られる)

で、茅野雄は一躍したが、真っ先立って逼って来た、敵の一人の右の肩を、抜き打ちにカッとぶった切り、悲鳴を耳にした次の瞬間には、左から寄せて来た敵の一人の、左の胴を割っていた。

日が明るくて鳥が啼いている!

晴ればれとした曠野には、草花が虹を敷いている。

が、その虹を蹴散らして、ドッと合わさり、サ――ッと散る、黒々とした物があった。二人の味方を切り仆されて、死に物狂いに狂い立った、丹生川平の男達であった。馳せ寄って茅野雄を引っ包んだり、茅野雄の振る太刀に敵しかねて、退いたりしているのであった。

四本の腕が空を掴み、四本の脚が草花をむしり、ぬらぬらとした真紅の色が、草と土とを濡らしていたが、これはどうしたことなのであろう? 茅野雄によって切り仆された、二人の男達が傷の痛みに、もがき廻っているのであった。