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しょうがいのかきね

生涯の垣根

室生 犀星

「新潮」1953(昭和28)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,267 字 · 22 页

青空文庫

「まるでかたわ者ばかりじゃないか、そこらじゅうで啼き声が立っているようだ、君は何とも思わんか。」

「旦那のかんがえていることはばかばかしいことですよ、わたしなぞ松の溜場にはいると、きゅっとからだが緊って来るほど快い気持です。」

「ところが僕はここに来ると人間の化の皮が見えてくるんだ、それぞれに小細工をして生かしているのを見ると、金魚の方がよほどありのまま生きているようだ。」

これらは決しておもちゃの盆栽ではない、盆栽でないこれらの松は太さはそれほど眼に立たないが、ことごとく普通の自然に生えた樹木にくらべると、まずすでに初老のよわいをかさねているのだ。苦しんでいるものは人間ばかりではない、ここにも、軽業芸をつくして広大な空の下で、いわゆる、なんにも言わないでいる黙っている人がいたのだ、この松どもは、どれを見ても人ですよ、どれも人といっしょにくらして、植木屋のいうとおりになって育ってきたものどもですよ、民さんのそんな言葉に対きあっている松は、なるほど、どれも、人に似ていた、人も人、はりつけになっているようなもの、横殴りになぐられて倒れかかっている奴、あるいは飢えて這いつくばい、なお起き上がろうとしているのもあったが、どれにも、喜びとか、踊り上るとかいう歓相のそれがなく、小さな叫びごえや唏りなきの声でなければ、妙