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まちのてんぼう
町の展望
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,428 字 · 6 页
「こんだあ上野公園や日比谷公園へつれてってくれないかね」
「はぐれないようにして貰わなくちゃ。先行ったとき、車で飛ばしちまっただけで何が何だか分りゃしなかったわ、足でちっとも歩かないんだもの」
東京見物の相談であった。彼等は浮いた声も出さず熱心に話した。
「新宿は二十七日っきりだから、浅川だけだね、参拝するなあ」
「嬉しいねえ」
年増の女は駭然として
「だけど月経がさ」
と座りなおしたような声を出した。
「フッ!」
「いや女は……」
男は真面目に云った。
「見たような気はしないし、ちょいちょい、ちょいちょい行きたくって」
「懲りてるのさ私、この前名古屋へ行った時、全くどこ歩いてるのか分らなかった」
女中が、銚子を運んで行った。
「宿賃いくらですってきき合わせたら五円だって。へー、五円て云ったのよ」
「アラいやだ」
「宿賃なんか兎や角云わないさ」
「大きなこと云ってるわ!」
「兎に角じゃ十日頃としとこう、又此方廻って帰ることにしときゃいいだろう」
女達の話しぶりには、苦笑ながら悪意のもてぬ何ものかが籠って居た。それにしても、これは、どんな種類の玄人なのだろう。
女中を呼んで男が