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がぼう
画舫
豊島 与志雄
――近代伝説――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,863 字 · 22 页
彼はなにかしら、心が苛立ってるとも浮立ってるとも見えるのでありました。
室の床には、水瓜の種の皮や、向日葵の種の皮や、落花生の皮や、梅の実の種や、鶏の骨などが、あたりに散らばり、また誰かが結婚式の残りのものを持って来たと見えまして、五色の切紙やテープが散乱していました。夜の時間がたつにつれて、料理の皿は冷えてきましたが、老酒の銚子は熱くなりました。拳の勝負を争う者もあり、カルタを取寄せる者もあり、女に戯れる者もあり、口をあけてうっとりしてる者もありました。
そういうところへ、張金田からの使の者に呼ばれて、李景雲がやって来ました。彼は、一座の人々の着飾った様子と、室の乱れと、芸妓たちとを見て、入口に佇みました。
「いよいよ御入来か。」と金田が叫びました。「遅かったぞ。二度も使を出したぞ。さあこっちへ来るんだ。君を待ち焦れてるひとがいるんだ。」
彼は立上って来て、景雲の肩をつかんで室の奥に引張ってきました。
「どうなすったのですか。」と景雲はよろけながら尋ねました。
「どうもこうもない、今日は目出度い結婚式だ。」
「どなたの式ですか。」
「どなたもこなたもない。