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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
岡本綺堂『異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二』。同一底本的分册已合并为一书。收入:海亀、鴛鴦鏡、鐘ヶ淵、こま犬、水鬼、指輪一つ、離魂病、木曽の旅人、西瓜、白髪鬼、百物語、妖婆、停車場の少女。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 144,507 字 · 291 页
ずいぶん薄情な人もあるものだと、わたくしも呆れてしまう程に腹が立ちました。なんぼこっちが小娘だからといって、あんまり人を馬鹿にしていると、ほんとうにくやしくってなりませんでした、ねえ、あなた、無理もないでしょう。」
少女をもてあそんで、さらにそれをあいまい茶屋へ売り飛ばして、素知らぬ顔で遠いところへ立去ってしまうなどは、まったく怪しからぬことに相違ない。市野にそんな古疵のあることを僕は今までちっとも知らなかったが、彼の所業に対してこの女が憤慨するのは無理もないと思った。
「市野はそんなことをやったんですか、おどろきましたね。まったく不都合です。」と、僕も同感するように言った。
「わたくしもその時には実にくやしかったんです。けれども、家へ帰って十日半月と落ち着いているうちにわたくしの気もだんだんに落ち着いて来て、あんな男にだまされたのは自分の浅慮から起ったことで、今更なんと思っても仕様がない。あんな男のことは思い切って、これから自分の家でおとなしく働きましょうと、すっかり料簡を入れかえて、以前の通りに店の手伝いをしていると、ある晩のことです。わたくしはまた怖い夢をみたんです。