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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
岡本綺堂『異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二』。同一底本的分册已合并为一书。收入:海亀、鴛鴦鏡、鐘ヶ淵、こま犬、水鬼、指輪一つ、離魂病、木曽の旅人、西瓜、白髪鬼、百物語、妖婆、停車場の少女。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 144,507 字 · 291 页
いつも同じことだから、もう詳しく言うまでもありますまい。わたしはすごすごと試験場を出ました。」
あり得べからざる話を聴かされて、わたしも何だか夢のような心持になって来ました。そこへ蒲焼のお代りを運んで来ましたが、わたしはもう箸をつける元気がない。それは満腹の為ばかりではなかったようです。山岸も皿を見たばかりで、箸をとりませんでした。
三
うなぎを食うよりも、話のつづきを聞く方が大事なので、わたしは誘いかけるように又訊きました。
「そうすると、それもやっぱり神経のせいでしょうか。」
「さあ。」と、山岸は低い溜息を洩らしました。「こうなると、わたしも少し考えさせられましたよ。実は今まで郷里の方に対して、受験の成績は毎回報告していましたが、髪の白い女のことなぞはいっさい秘密にしていました。そんなことを言ってやったところで、誰も信用する筈もなし、落第の申訳にそんな奇怪な事実を捏造したように思われるのも、あまり卑怯らしくって残念だから、どこまでも自分の勉強の足らないことにして置いたのです。ねえ、そうでしょう。わたしの眼にみえるだけで、誰にも判らないことなんだから、いくら本当だと主張したところで信用する者はありますまい。