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うみがめ

異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二

岡本 綺堂

岡本綺堂『異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二』。同一底本的分册已合并为一书。收入:海亀、鴛鴦鏡、鐘ヶ淵、こま犬、水鬼、指輪一つ、離魂病、木曽の旅人、西瓜、白髪鬼、百物語、妖婆、停車場の少女。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 144,507 字 · 291 页

青空文庫

、はなはだしい不便を与えるのであった。

この時、わたしの注意をひいたのは、岸に垂れている二本の枯柳の大樹の根もとが、二つながら掘り返されていることである。さらに検めると、一本の根もとの土は乾いている。他の一本の根もとの土はまだ乾かないで、新しく掘り返されたように見える。わたしはそこらに集まっている土地の者に訊いた。

「この柳の下はどうしてこんなに掘ってあるのかね。」

いずれも顔を見合せているばかりで、進んで返事をする者はなかった。誰も今まで気がつかなかったというのである。わたしは岸に近い氷の上に降りて立って、再びそこらを見まわすと、凍り着いているまばらな枯芦のあいだに、園芸用かとも思われるような小さいスコープを発見した。スコープには泥や雪が凍っていた。

何者かがこのスコープを用いて、柳の下を掘ったのであろう。そう思った一刹那、かの冬坡のすがたが私の目先にひらめいた。彼はおとといの晩、この柳の下にうずくまって、凍った雪を掻いていたのである。

二

お照の死体は清月亭の親許へ引渡された。

種々の状況を綜合して考えると、大体において自殺説が有力であった。