轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ふうてんろうじんにっき

瘋癲老人日記

谷崎 潤一郎

「中央公論」中央公論社、1961(昭和36)年11月~1962(昭和37)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,490 字 · 196 页

青空文庫

颯子の立場は甚だ微妙で、且困難なものであった。井上教授の注意に従って、努めて父にやさしい態度を示すようにしていたが、餘りやさしくし過ぎたり、長時間枕頭に侍っていたりすると、父は往々感激して興奮する。颯子が病室にいた後で、父が発作をおこすことはしば/\あった。さればと云って、彼女が日に何回か病床に姿を見せなければ、病人がそれを気にすることは必至であり、そうなれば病勢を悪化させる結果となる。

父も颯子と同じような微妙な心理状態にあった。狭心症の発作は非常な苦痛を伴うので、父は死を恐れないと云いながらも、死に至るまでの肉体の苦痛は恐れた。だから颯子に餘り親しくされることは避けるように、内々努めている様子があったが、しかし全然会わずにはいられなかった。

私は浄吉夫婦の住んでいる二階には行ったことがない。が、佐々木看護婦の語るところでは、颯子は近頃夫の部屋では寝ていないらしい、泊り客のために用意してあるスペーアの室に自分の寝間を移しているらしいと云う。たまには春久も、こっそり二階に上り込んでいることがあるとも云う。

或る日、私が京都に帰っていた時、突然父から電話がかゝった。