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はっくつしたびじょ

発掘した美女

坂口 安吾

「講談倶楽部 第五巻第四号」1953(昭和28)年11月10日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,882 字 · 29 页

青空文庫

熱病にとりつかれたような様子である。初音サンはよろこんで、

「そうお。彼女はそんなに大胆不敵? 私も、やろうッと」

タオルや化粧道具をつかんで急いでお風呂へでかけた。美女観察のためでもあるらしかった。ところが彼女は怒って戻ってきた。

「私が行ったらね、彼女はもう着物きてるところだったわ。変に私を見つめるのよ。そしてね、お姉えチャン美人ねえハイチャ、だって。バカにしてるわよ」

「初音サンの態度が悪いからさ。物見高い気持を利巧な彼女に見破られたのさ」

「なにが物見高いのよ」

「まア、止しなさい。私も一風呂あびてこよう」

と梅玉堂もタオルをぶらさげて出かけたが、廊下にそれを待っていたように娘と少年が壁にもたれて並んでいるのである。彼がその前を通りすぎようとすると、

「デブチャーン。コンニチハ――」

わざと声を細めて先ず呼びかけたのは姉の方である。すると弟がそれにつづいて、

「百貫デーブ、大きいな」

梅玉堂は小心だから、子供にからかわれても羞しくて赤くなるのである。首スジまで赤くなるタチであった。少年は目ざとくそれを見つけて、

「ワーイ。赤くなッたぞ。百貫デーブのタコ入道!」