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はっくつしたびじょ

発掘した美女

坂口 安吾

「講談倶楽部 第五巻第四号」1953(昭和28)年11月10日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,882 字 · 29 页

青空文庫

せッかくロマンチックになりかけたのに、何たることだ。初音サンはウンザリしてしまった。

ホラ穴の美女

翌朝は考古学探険隊案内のため、お握りジイサンが早朝からきて、一同の朝の目ざめを待っていた。一同はかなり早く目がさめたのだが、それからが大変なのである。まず、顔を洗い、便所へ行く。この便所が大変だ。先祖代々掃除をしたことがないらしい。初音サンは前晩から泣きほろめいていたのである。

「ボクたちが来るまでは、もっと汚なかったんですッてさ。あのバアサンが堪りかねて、汚い物を始末して、とにかく今のようにしてくれたんだそうですよ。バアサンの孫娘の人、例の美人ね、オ花チャンと云うんですよ。あの人が便所へ行こうとしないから決死の思いで、あそこまでキレイにしたんだそうですよ」

「あれで掃除したの?」

「そうですッてさ。あれ以上はどうにもならないそうですよ。それでね。オ花チャンは今でも便所へ行かないそうですよ」

「どうしてるの?」

「谷底へ降りて、滝にうたれて用をたしてくるらしいですね」

「夜は?」

「夜もそうらしいですよ。バアサンと二人で、ゆうべもおそくなって外へ出て行きましたよ」