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しろいくま
白いくま
小川 未明
「良友」1926(大正15)年10~11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,512 字 · 9 页
「これは、もう、力ずくでいってはだめだ。」と、くまは考えました。
彼は、しばらく、人間がなにをしようと、するままに黙って、見ていようと思いました。くまは、人間は、けっして、これ以上なんにもしないということを知ったのであります。
毎日、白い布を頭にかぶった、青い色の服を着た男が、生肉の切れを持ってきてくれました。くまは、それを食べながら、「なんというまずい肉だろう。」と、考えたのです。ぴちぴちはねている生き物を自分の手でしっかり押さえつけて、頭がらガリガリとかじるのにくらべては、歯ごたえがなかった。彼は、もう一度氷山の上で、逃げてゆこうとする動物を追いかけていって、それをつかまえて、食べてみたいと思いました。
食べ物は、まあ、これでもしかたがないが、暑いのには、こまってしまいました。すると白い布をかぶった男が、大きな氷の塊を水の中へ投げ込んでゆきました。くまは、ザブリと躍り込んで浸りました。浸ったかと思うと、また躍り上がりました。ちょっと、その瞬間だけいい気持ちがしたのでした。
「人間は、なんていうけちな奴だ。あの海はすっかり凍っているじゃないか? また氷山の氷をいくらでも持ってくればいいじゃないか。