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しろいみち

白い道

徳永 直

「新潮」1948(昭和23)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,169 字 · 36 页

青空文庫

、歩いているかんかくをちぢめることさえ出来なかった。

彼女たちはそこからわかれている、もっと小さな野良道におりて、田甫のあいだを横ぎりながら、むこうにみえている山裾の部落へかえってゆくのであった。腰のへんまで稲の青葉にかくれながらとおざかってゆく。そして幾まがりする野良道を、もうお互いの顔の表情もさだかでなくなるくらいのところで、女はこっちをふりかえって首をかしげてみせる。それまで土堤道につったっている三吉もあわてて首をさげながら、それでほッとよみがえったようになるのであった。――

たかい鼻と、すらりとした背。大きすぎる口、うすい眉毛さえが、特徴あるニュアンスになって、三吉の頭に影像をつくっている。そして彼女たちの姿が青く田甫のむこうにみえなくなったとき、しろくかわきあがった土堤道だけが足もとにのこったが、それはきのうもおとといも同じであった――。

尻からげして、三吉は、こんどは土堤道をあと戻りし、やがて場末の町にはいってきた。足首を白いほこりに染めながら、小家ばかりの裏町の路地を、まちがえずに入ってくる。なにかどなりながら竹箒をかついで子供をおっかけてきた腰巻一つの内儀さんや、ふんどしひとつのすねをたたきながら、ひさし下のしおたれた朝顔のつるをなおしているおやじさんや、さわがしい夕飯まえの路地うちをいくつ