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しろいくも

白い雲

小川 未明

「お話の木」1937(昭和12)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,755 字 · 16 页

青空文庫

一

一

みんなは、なにかすてきに、おもしろいことがないかと、思っているのです。敏ちゃんも、もとより、その一人でありました。往来で、義ちゃんや、武ちゃんや、かつ子さんたちが、集まって、なにか見て笑っています。

「なんだろう?」と、敏ちゃんは、走ってゆきました。

義ちゃんが、真っ黒な砂鉄を紙の上にのせて、両手で持っていると、武ちゃんが、磁石で、紙の裏を摩っています。すると、砂鉄がむくむくと虫のはうように、磁石のいく方について動くのでした。

「おもしろいのね。」

「不思議だろう。」と、武ちゃんが、自分もそれに見とれて頭を傾けていました。

「僕、たくさん砂鉄を取ったのだけれど、洗ったら、これんばかしになったのだよ。」

義ちゃんは、砂鉄の入っているびんをポケットから出して、見せていました。

これを見ると敏ちゃんは、にやりと笑いました。自分も大きな磁石を家に持っていると思ったからです。それは、いつかお隣の兄さんから、もらったものです。もう赤く塗ったところがだいぶはげていたけれど、もとは、いい磁石だったのです。

明くる日、敏ちゃんは、学校へいくと、休みの時間に、運動場の砂場で、小山といっしょに砂鉄を取るのに夢中になっていました。