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しろいくも

白い雲

小川 未明

「お話の木」1937(昭和12)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,755 字 · 16 页

青空文庫

「かつ子さんだって、くるのだから。」といったので、弱虫と思われては、いけないと思って、

「僕もいく。」と、敏ちゃんは、約束しました。そして、ポケットから、大きな磁石を出して、ながめていますと、

「お見せ、大きいのだね。これに電気をかけたら、ものすごくなるよ。鉄びんでも、なんでも持ち上げるだろう。だけど、赤いところがはげているから、じきに力が弱くなってしまうね。でも、大きくて、すてきだなあ。」

義ちゃんは、敏ちゃんの磁石を見て、うらやましがりました。そして、手に取って、つくづくとながめていました。

午後から、おおぜいで電車道へ出かけたのです。彼らは地を震動して、電車が通過するたびに、飛び出していっては、レールにめいめいの磁石を押し当てていました。その間、女の子供たちは、左や右を見張っていました。

遠くからトラックや、オートバイの影が見えると、

「あっちから、きた!」と、注意をしました。

みんなが、いつも遊ぶ原っぱへもどってきてから、磁石の試験をしてみたけれど、その力には、前とすこしの変わりもなかったのです。義ちゃんや、武ちゃんの磁石は、やはり敏ちゃんの大きな磁石よりは、ずっと力が強かったのでした。