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しろいくも

白い雲

小川 未明

「お話の木」1937(昭和12)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,755 字 · 16 页

青空文庫

三

晩方、敏ちゃんは、ラジオ屋のおじさんのところへきました。そして、電車のレールから、電気を取った話をしました。

色の黒い、口ひげの生えたおじさんは、目をまるくして、敏ちゃんの話をきいていましたが、

「あぶないな、過ってひかれでもしたら、どうするつもりだ。なんで、そんなことで電気が取れるものか。どれ、おじさんが、磁石に電気をかけてやるから、もう、あぶないまねをしてはいけないぜ。」と、諭しました。

おじさんは、ラジオの針金をぎりぎりと敏ちゃんの磁石に巻きました。つぎに、その二本の線の端を電池の端子に結びつけました。すると、電流が通じて、青い、美しいが火花が散りはじめました。

「ああ、これぐらいでいいだろう。これなら、たくさん砂鉄が食いつくぜ。」と、人のよいおじさんは、笑って、磁石を敏ちゃんに渡してくれました。

三

地理の時間でした。小山は、夜店で買ったといって、丹下左膳と侍の小さな人形を二つ三つ、紙に載せて、下から磁石を操って踊らせていました。磁石の動かし具合で、人形どうしは、たちまちチャンバラをはじめるのです。小山は、先生のお話など、耳に入れようともしないのです。