轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しろすみれとしいのき

白すみれとしいの木

小川 未明

「読売新聞」1920(大正9)年1月9~10日、12日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,429 字 · 5 页

青空文庫

一

一

北の方のある村に、仲のよくない兄弟がありました。父親の死んだ後は兄は弟をば、むごたらしいまでに、いじめました。

弟は、どちらかといえば、気のきかない、おんぼりとした質で、学校へ行っても、あまり物事をよく覚えませんでした。だから、兄は弟をば、つねにばか者扱いにしていたのであります。

弟は気がやさしくて、けっして兄に対して手向かいなどをしたことがありません。いつも兄にいじめられて、しくしく泣いていました。

冬の、ある寒い寒い晩のこと、格別弟が悪いことをしたのではないのに、兄は弟をいじめました。

「おまえみたいなばかは、こんな寒い晩に外に立っているがいい。そして、凍え死んだって、俺はおまえをかわいそうとは思わないぞ。」と、兄はののしりました。

弟は、どうかそんなことはいわずに、家の中に置いてくれいと頼みますのを、兄は無理に弟を戸の外に出して、かぎをかけてしまいました。

家の外は、野にも山にも雪が積もっていました。その晩は、めったにない寒さであって、空は青ガラスを張ったようにさえて、星晴れがしていました。また、皎々とした月が下界を照らしていました。

弟は、雪の上に茫然としていますと、目から流れ出る涙までが凍ってしまうほどでありました。