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しらがこぞう

白髪小僧

杉山 萠円

「白髪小僧」誠文堂、1922(大正11)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,770 字 · 194 页

青空文庫

見ると今までの藍丸王はいつの間にか見すぼらしい乞食の白髪小僧の姿に変って終って、緑色の房々した髪の毛も旧来の通り雪のように白くなっていた。

この有様を見た新規の藍丸王は、忽ちカラカラと笑って、直ぐに傍の焚火の中へ右手を突込んで掻きまわしながら、高らかに呪文を唱えた――

「世界中の何よりも赤い

世界中の何よりも明るい

世界中の何よりも美しい

火の精、血の精、花の精――

その羽子が羽ばたけば

瞬く間に天の涯

すぐに又土の底

一飛びに駈け廻る――

その紅い眼の光りは

夜も昼も同様に

千里万里どこまでも

居ながらに皆わかる――

声という声、音という音

皆聞いて皆真似る――

声の精、言葉の精、歌の精――

赤い鸚鵡出て来い」

と叫びながらその手を火の中から引き出すと、その拳の上には一匹の赤い鳥が乗っかっていた。その赤い鳥は藍丸の王宮から逃げ出して今大勢の兵隊に一日がかり探されている彼の赤鸚鵡と寸分違わなかったが、只その眼玉ばかりは今までと違って、紅玉のように又は火のように、あたりを払って輝やいていた。

それを左の手に据えて、新規の藍丸王はつかつかと白髪小僧に近寄りながら――