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ひゃくしょうやのすけのはなし

百姓弥之助の話

中里 介山

01 第一冊 植民地の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 51,621 字 · 99 页

青空文庫

百姓弥之助はこの自家用炭焼の成功を喜んで同時に農村炭化と云う事を考えた。近頃は農村電化と云う声を聞くが、これが実行は現在の農業組織では中々容易なものではないが農村炭化となると組織の問題ではなく直ちに実行の出来る生活改善の一部なのである。薪として燃したり粗朶として燃やしたりする大部分に少しの手数をかけてこれを炭化して使用する事になると時間と経済と衛生との上に多大な利益がある。

日本の農村生活から囲炉裏と云うものを容易に奪う訳には行くまい、囲炉裏の焚火と云うものは、ほとんど原始的のものであるけれどその囲炉裏を囲むという実用性と家庭味は日本農村の生命であって火鉢やストーブでは充たしきれない温かみがそこにあるのであるが、然しこの原始的の情味も早晩相当の改良を加えなければならない時機に達するだろう。

第一囲炉裏では燃料が多く無駄になる、それから煙が立ち材木がくすぶり家がよごれる、それから眼の為などには殊によくない、同一の燃料を炭にして置くと、はるかに永持がする、一時パッと燃やして火勢をとる様な煮物の為には多少の生の燃料をつかってもいいけれど永持をさせる為には炭がよろしく、そうして経済でもあるし、第一また素薪をたくのだと、煮物をする場合に附きっきりで火を見て居なければならない、燃え過ぎてもいけないし、燃え足らなく