轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

とうなん

盗難

宮本 百合子

「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社、1981(昭和56)年12月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,371 字 · 13 页

青空文庫

まあこれぞと取られたものもなしするからほんとによかったとは思ったけれ共、一番部屋の端に寝て居た自分は、きっと蚊帳を通して、自分の寝姿を見られた事は確かだと思うと、女性特有の或る本能的な恐怖は、強く浮き上って来て、自分の眠って居たと云う事は、将して、ほんとの自分の眠りであったろうかなどと云う事さえ感じられて来た。

そして種々恐ろしい様子を想像して見れば見る丈、今斯うやってきのうと同じに、歩き喋り考えて居られる自分が、又外の家中の者が、ほんとに仕合わせであった様に思わずには居られなかったのである。

巡査は間もなく帰って行った。

けれ共、段々彼方此方片附け出すと、泥足の跡のある着物だの、紙片れだのが発見された。

その中でも、最も皆を縮み上らせたのは、湯殿の化粧台のそばに落ちて居た一枚の「ぼろ」であった。

うす黄い、疎な木綿の二尺ほどの布は、何か包んで居たらしく皺になって、所々に金物の錆が穢らしくついて居る。

何か金物を包んで来たのだと云う事は確かである。

皆の者は、そのうす汚れた布片れにくるんであった、赤錆のついた鉄棒か斧が、真暗の湯殿に立って、若し誰でも来たらと身構えて居る男の背後にかくされてある様子を思うと、ほんとに背骨の一番とっぽ先が、痛痒い様な感じを起して来る。