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かんごくべや

監獄部屋

羽志 主水

「新青年」1926(大正15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,909 字 · 12 页

青空文庫

「夫りゃア奴等だって悪い事たア百も承知の上だから気にもなりゃア、溜息も突こうサ……黙ッた黙ッた帝釈天だ」

「ヤイヤイ、此奴等ア又怠けやがるナ、何に言ッてやがったんだ、エエ、オイ(と山田に向って)生公、何の相談をしやがったんでイ」

「ウン、何も話なんか仕やし無えや」

「何ヨ、手前は一体生意気だぞ、オダ上げると焼きヨ入れてやるぞ、夫から手前達、今日は特別に早引けで五時限りにして遣るから、其跡で持場や、部屋の居廻りヨ念入りに片付けて掃除をしろ、夫からモ一つ言って置くがナ、手前達、物を言うにゃア、ようく後前ヨ考えてぬかせ、ウッカリ顎叩くと飛んでも無え間違になるぞ、後で、吠え面かかねエ様にしろ、大事に使やア一生ある生命だア、勿体なくするな」

呶鳴続け、睨め付けてノソリノソリ往って了うと、

「一生ある生命には違ねえが、其一生が平均三ヶ月てんだ、晩かれ早かれで同じ事だ」

「然しあんなに駄目を押して、予防線をさすッてエなア何様せ例もの洞喝だろうが――奴等も大部こたえたらしいナ」

「オイオイ、夫れよりや早引けの掃除ッてなア、弥々明日になったんだぜ」

「それサ、己も先刻から其奴を言おうと思ってたんだ、何しろ難有てエ難有てエ、ア、助ったナア」