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もうもくものがたり
盲目物語
谷崎 潤一郎
「中央公論」1931(昭和6)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,341 字 · 148 页
れてかみがたへおつかわしになり、ほうばい同士矛盾におよんでは亡君の御位牌にたいしてももうしわけなくぞんずるゆえ、こんごはじっこんにいたしたいと申されましたので、そのときはひでよし公もたいそうおよろこびあそばされ、それがしとても同様に存じておりましたところ、わざ/\おつかいにてかたじけのうござります、しゅりのすけどのは信長公の御老臣のことでもござれば、なんで違背いたしましょうや、これからは万事おさしずをねがいますと、れいのとおり如在ない御あいさつでござりまして、お使者のかた/″\を至極にもてなされておかえしになりました。それで殿さまがたは申すまでもなく、わたくしどもまでも御両家おんわぼくの儀をうかゞいまして、もうこのうえはいやなしんぱいもなくなるであろう、おくがたのおん身にもまちがいはなかろうと、ほっとむねをなでおろしておりますと、それから一と月とたちませぬうちに、ひでよし公すうまん騎をひきいて江北へ御しゅつじんなされまして、ながはまじょうを遠巻きになされました。なんでもこれには仔細のありましたことらしく、ひでよし公が北の庄のごけいりゃくの裏をかゝれた