轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
さばくのまちとサフランしゅ
砂漠の町とサフラン酒
小川 未明
「童話」1925(大正14)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,790 字 · 8 页
どれ、ひとつゆっくりと酒を飲んでいこう……。」
彼らは、町にはいると、赤い酒のコップを手にしました。
酒場の前を、美しい女がやさしい、いい声で唄をうたって通りました。ちょうど、その唄の声は、海で潮のわく音のようであり、女たちの姿は、春風に吹かれるこちょうのごとくに、見られたのでした。
一杯、また一杯と、飲んでいるうちに、すっかり頭の中にあった考えというものが、空になってしまいました。そこで、持ってきただけの金を、町の中で使いはたしてしまったのです。
彼らは、酒の酔いがさめきらぬうちに、まったく夢心地でこの町を立って、出かけましたが、いつしか砂漠の中で、酔いがさめて、天幕のすきまから星の光を仰ぐと、はじめて、なにも持たなくては、いまさら故郷へは帰れないと思ったのでありました。
彼らは、ふたたび山へもどりました。そして働きました。また岩を割ったり、土を掘ったりしました。
金がたまると、こんどこそは、故郷へ帰って、みんなの顔をば見ようと思いました。彼らは山を下ったのであります。
赤い町が、すぐ目の前に近づきました。彼らはサフラン酒の味を、思い出さずにはいられませんでした。