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しゃかいじひょう

社会時評

戸坂 潤

「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页

青空文庫

――無論こうなれば水掛け論で、満州の背後に、日本がいるのは別として、もし匪賊の背後に(?)ソヴィエトがいるとすると、匪賊の活動と匪賊の討伐なども、もはや決して満州の問題には止まらない意味を持ってくるわけだ。そして×××××××××であることを希っているようだ。(ソヴィエトの方はあまりに×××いないと見えて之を否定しているわけである。)そうすると之は瓦房店の署長討伐どころではない大問題だ。

とそう思って幾日も経たないのに、又々北鉄本線ハルピン新京間で旅客列車が匪賊の手によって顛覆され、多数の死傷者を出し、邦人数名が人質として拉致されたという事件である。ソヴィエトの魔手もこう帝都のすぐ近くにまで逼って来たのでは、満州楽土の治安も累卵の危きにあると云わざるを得まい。

だが、よく考えると、顛覆したのは軍用列車でもなければ貨物列車でもなかったから、例の広田外相の論拠によると、恐らく之は例のソヴィエトの魔手という奴ではないかも知れない。でそうなら吾々はこの点却って、この事件のおかげでホットすることが出来るわけだ。まして拉致された日本人が無事に帰って来たと聞いて、満州の多難にあまり神経を嵩ぶらすに及ばないではないかと、考えが多少は楽観的にもなるのである。