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しゃかいじひょう
社会時評
戸坂 潤
「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页
これがないばかりに、狂人殺人事件やレプラ患者追放事件なども起きねばならなかったわけである。
四、教育幼年学校
私が某連隊へ入営して半年も経たない内に、連隊の将校の内で、どれが中学校出身で、どれが幼年学校出かということを、他人から聞かない中から見分けがつくようになった。(下士上りはもっと判然と判るが)。馬鹿に糞真面目でユーモアが足りなくて、世間的に非常識で、思い込みが多くて、僧侶や牧師のように大人びていて、生れつき一種の特権貴族であったような気持ちで部下に臨む癖があるのは大抵幼年学校出である。之に反してヅボラで感情が多少とも複雑で、少しは世間と軍隊とを比較することを知っており、物判りが割合早く、茶目気があるのは、大方中学校出身者である。全く之は早期の職業教育の相違から来るのである。
早期の職業教育は、固定した職業意識によってイデオロギーの自由な発展を束縛する。――師範学校も亦一種の幼年学校に外ならない。一体将来に対する未知の可能性を多分に蔵している溌剌とした少年に、一人に号令することを教えることが、人間を馬鹿にする結果になるのと同様に、そういう少年に人を教えることを教えるのは、人間をヒネコビたケチなものにして了う。