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しゃかいじひょう

社会時評

戸坂 潤

「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页

青空文庫

以上の諸項目の一つ一つに就いて吾々は完全に賛成であると共に、之が実現可能であるということを信じて疑わないものである。だからこそそれに賛成しているのである。――只、一つ心配なのは、日本精神の確立とか日本古典の研究とか近代思想の究明とか、国史教育社会教育の奨励とか、教育制度の改革とか、いうものに就いてまで、警保局で原案を造って呉れて了っては、文部省のすることがなくなりはしないかという、素人臭い心配の一点だけである。警保省文部局ということになりはしないかという点だけが只一つ心配なのである。それも、文部大臣がスポーツの世話を焼くだけの役目では、あまりに気の毒だと思う同情の心からなのである。

私は子供の頃、政教分離ということを聞いてなる程と思ったものであるが、更に宗教関係や教育取締は文部省で、神社関係や犯罪取締は内務省の所管だということを知って、その組織的な分類法に敬服したものだった。処がこの頃では、どうもこの点に就いて段々懐疑的になって来たようである。

何にせよ、教育の警察化ということはあまり柄の良いものではない。例えば中学校以上の入学者全部を、片端から指紋を取ってやろうというようなある筋の最近の提案は、職業的サディストにとっては中々面白い痛快なイデーであるが、「社会風教」