轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かみだな
神棚
豊島 与志雄
「新潮」1923(大正12)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,427 字 · 44 页
そしていつのまにか、一寸だらしのない話だが、いい気持に居眠ってしまった……。
それからどれくらいたったか知らないが、俺はふと眼を覚した。急に寒気がしてぶるぶると震えた。感冒をひいたかも知れない、しまったな……という気持でむっくり起き上ってみると、驚いたことには、灯明をあかあかとともした神棚の前で、お久がくぐまり込んで、「天照る神ひるめの神……」を初めている。薄汚れのした紡績の着物にはげちょろのメリンスの帯、その肩から腰のあたりへ、ぼんやりした電燈の光を浴びて、縮こめた首筋へ乱れかかってる髪の毛が、気味悪くおののいている。おや!……と俺は思った。その姿形が亡くなった母によく似ていた。ただ、脂ぎってねっとりしてる黒い髪だけが、母のぱさぱさした赤毛と違っていたが、それが却って不気味だった。俺は我知らず立上った……途端に、彼女はじいっと振向いた。その顔が、母の死顔そっくりだ……と思う気持だけでぞっとしたが、何のことだ、やはりお久の顔だった。而も、俺が起き上るのを内々待ち受けていて、それをわざと空呆けてる、という顔付だった。その気持が余りまざまざとしてただけに、却って俺の方が落付を失った。