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かがくがへそをまげたはなし

科学が臍を曲げた話

海野 十三

「新青年」1934(昭和9)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,453 字 · 9 页

青空文庫

銅線の尖端には大きな銅板をつけると一層効果があります。雷が上空から来ると、針の鋭い電気吸引力で、雷が忽ち吸いよせられ、この針の上に落ちますが、落ちると同時に電線を伝わって地中へ潜りこみ、勢を失ってしまいます。これは云うまでもなく雷の正体は電気ですから、針に引っかかったと同時に、導電体を伝わって地中へ潜るのです。この道が出来ているために、大きな音もなんにもしません。ピチッという位です。

或る所で、それはそれは立派な避雷針を建てました。主人公は大自慢です。何処の家のより立派だというのです。ところが、間もなく雷鳴が始まりましたが、雷は天地も崩れるような音をたてて真先にこの家に落ちました。勿論人死が出来、家は雷雨の中に焔々と燃えあがりました。これはスグスグ雷はいつもの調子で、針の上に落ちてみますと、針の下から地中へ行く道が作ってないのです。つまり銅線が接いでありません。仕方なしに屋根や柱、襖に障子などを伝わって地中へ辛うじて逃げたのです。この家の主人は避雷針の針ばかりを見て来て、肝心の銅線や接地板の必要なことに気がつかなかったのでした。

それと又別の話に、或る村で避雷針を立てましたが、これは電気的に完全な避雷針でしたが、ところがその針を立ててから、その村の落雷が俄かに殖えたという噂が立ちました。