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かがくろん

科学論

戸坂 潤

「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页

青空文庫

に!)這入っていない。自然界が持っている宇宙的時間、そこに因果の必然的な連鎖が脈打つと考えられる自然の時間は、この歴史的世界の「構造連関」のどこに影を潜めて了ったのだろうか。自然の方は解釈されただけでは不充分であるのに、人間社会の歴史だけが、なぜ単に解釈されただけで、事が済むのだろうか。自然と歴史的社会とをこのように全く秩序界の異った地上と天国とのように分離することは、現代のこのブルジョア社会に対する認識という点から見て、並々ならぬ意味のあることだ。

併し、「科学方法論」が示す右のようなチグハグは、案外卑近な所にそのメカニズムを持っているとも考えることが出来る。というのは、「科学方法論」の習慣は、いつも自然科学を歴史科学に対立させることにあったのである。つまり実は、自然と歴史とが対立させられるのである。処がこの対立が元来チグハグなのである。一体ここで歴史というのは正確に云えば人間社会(動物社会という言葉もあるから夫から区別して)の歴史のことだ。そうすれば之に対立するものは、正確に云えば自然ではなくて自然の歴史でなくてはなるまい。して見ると対立しているものは、紛れないために正確に云い表わせば、自然と歴史とではなくて、自然と社会(人間社会)とだということになる。