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かがくろん
科学論
戸坂 潤
「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页
そして歴史なるものは、実はこの両者を一貫する処のものなのであった。
自然史(博物)と社会史(所謂「歴史」)との間には、ドイツ的歴史哲学者が考えるような絶対的な超えるべからざるブランクが横たわる程、二つは別なものではない。そのことは何よりも、ドイツ的「歴史哲学」自身の端緒をなすヘルダーに尋ねれば明らかだろう。彼は後の「歴史哲学」的哲学者とは異って、人間の歴史を地球の自然史から始めている。カントの(ラプラスの名を持つ)『天体の歴史』は自然が本来一つの歴史的過程であったことを推定している。この自然の歴史過程のごく後の方になると、進化理論が生物の進化と人類の生物からの進化とを証明している。そしてその後は人類学や先史学が説明する。それから初めてディルタイやリッケルトを累わす「歴史」が始まるのである(人類が死滅した後のことは、「歴史哲学」的形而上学にでも一任しよう)。
だが自然科学に於て最も重きをなすものは、進化論などという不精密な生物学的知識ではなくて、こういうものの最も精密な基礎をなす処の物理学の如きものだ、して見ればそこには歴史なるものがどれだけの意義を持つか、と或る人達はいうだろう。