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かがくろん
科学論
戸坂 潤
「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页
操作によって変化された状態でしかない。この点社会科学に於て、研究活動の作用そのものがその研究対象たる社会にぞくすという関係と、程度の差こそあれ、本質的に別なものではない。
それから一定の必要な理想状態と云っても、夫はその言葉が示す通り理想状態であって、現実に到達し得る状態と夫との間にはいつも或る距離が残されている。不必要有害な外部的影響から絶対的には免れ得ない点では、政府の米穀統制政策の試みの場合と、海底に於ける重力測定のための実験の場合とでは、矢張り程度の差こそあれ、その条件の困難に本質的な変りはない。実験が人工的に比較的随時に行なわれ得るということは、実験を大学の実験室での実験に限って考えるからで、特定の天体観測(之も実験でないという理由はあるまい)、例えば水星のペリヘリオンなどは、決して人工的に随時に行なわれはしない。それは戦争や革命よりもまだ稀だろうからだ。――顕微鏡や試験管を用いなければ実験ではないというなら、そして疑問を確かめるために試みるという目的意識や、今後の先例にしようとする目的意識がなければ実験でないというなら、戦争には偵察攻撃という社会的実験のための戦術もあるのである。