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くうちゅうふんぼ

空中墳墓

海野 十三

「新青年」博文館、1928(昭和3)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,986 字 · 28 页

青空文庫

夕方になった。私達は、宇宙艇の行方をじっと見つめていた。天文台の内外は、少しずつ騒がしくなって来た。警官隊や、附近の青年団などがやって来て、私の部下と懸命に争っているのであろう。この調子では、根賀地か私かが、彼等に当らねば、もちきれないかも知れないと思った。

「先生、宇宙艇の進路がかわって来ます」

私は大急ぎで望遠鏡をのぞいた。なる程、少し左へ傾きかけた。

「月の軌道より外へ出ているのか」

「そうです。正に一万キロメートル外方です」

外の騒ぎは少しずつはげしくなった。月はだいぶん高く上って来た。私は真弓子と川股とを隣室から連れて来させた。二人は心配そうな表情を浮べていたが、大変温和しくなっていた。

私は彼等に呼びかけた。

「お聞きなさい」

と私は何やら感激に胸をふるわせた。

「お聞きなさい。これからお聞かせしたり御見せしたりするものは、貴方がたにかなり勇気を要求いたします。先ず第一に、真弓さん、貴女の本当のお父さまは、無着陸世界一周飛行を敢行した操縦士風間真人氏なのです。詳しいことは言っていられないが、ここに風間氏の手記があり、これからお家へおかえりになってお母様にお聞きになっても、それにちがいなかったのだと、仰有るでしょう。