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くうしゅうそうそうきょく
空襲葬送曲
海野 十三
「朝日」1932(昭和7)年5月~9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 95,012 字 · 189 页
珍らしや、聯合艦隊!
日米国交断絶の直ぐ後、南シナ海から、台湾海峡の方へ出動し、米国アジア艦隊と一戦交えたまでは判っていたが、其後はどこに何をしているのやら、国民には杳として消息の判らない聯合艦隊だった。
それも道理、アジア艦隊との一戦に、残念にも妙高と金剛とを喪い、外に駆逐艦と飛行機を少々、尊い犠牲とすることによって、どうやら、アジア艦隊の始末をつけることが出来たのであった。尚生残った敵艦隊を掃尽し、更に進んでは、陸軍のフィリッピン攻略を援助すべきではあったが、太平洋方面の戦略が重大であるために、あとは第三艦隊と特務潜水艦隊とに委せここに吾が聯合艦隊は、針路を東に向け直したのだった。先ず手近かの、グアム島を占領して、これで西太平洋の制海権を収めると、いよいよ艦隊は、最後の一戦を交える準備として、南洋群島へ引上げ、待機の姿勢を執ることとなった。
その間に、米国側では、どうにかして、わが聯合艦隊を、不利な状況下に引張り出そうとして、殊更マニラ飛行隊を帝都へ送って空襲をさせ、或いはアクロン号の夜襲、北海道、青森県の占拠まで、可也の犠牲をかけて、日本艦隊の釣出しを試みたのであったが、わが聯合艦隊司令長官大鳴門正彦大将は無念の唇を噛み、悪口を耳より聞き流し、唯、決戦の最も有利な機会の来るのを待った。