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くうしゅうそうそうきょく

空襲葬送曲

海野 十三

「朝日」1932(昭和7)年5月~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 95,012 字 · 189 页

青空文庫

あたしはそれを思うと、その大勢の同胞のために、喜んで三吉を、防空監視哨の櫓の上に送りたいと思います。いいでしょう、兄さん」

「それは立派な覚悟だ」浩は熱い眼頭を、拳で拭いながら返事をした。「建国二千六百年の日本が滅亡するか、それとも生きるかという重大の時機だ。私はお前の覚悟に感心をした。それと共に、年老いたお父さんの御決心にも頭が下るのを覚える。では、お父さん、三ちゃん、行って下さいますか」

「よく判ってくれて、こんなに嬉しいことは無い」老父も流石に、感極まって泣いていた。

「なア、三坊、お祖父さんと一緒に、日本の敵のやってくるのを張番してやろうな」

「ウン、あの磯崎神社の傍の櫓なら、さっきよく見てきたよ。お祖父ちゃんと一緒に昇れるのなら、僕、嬉しいな。アメリカの飛行機なんか、直ぐ見付けちゃうよ。ねえ、お祖父さん」

「おお、そうだ、そうだ」

三吉の無邪気な笑いに、一家は喜んだり、泣いたりした。

「真弓、もう時間もないことだ。さァ急いでお前は、東京へ電話をかけるんだ。僕は町長さんのところへ行って、お父さんと三ちゃんの志願のほどを伝えて来よう」

「そう、愚図愚図してられないわねエ」