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くうしゅうそうそうきょく
空襲葬送曲
海野 十三
「朝日」1932(昭和7)年5月~9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 95,012 字 · 189 页
「旦那」郵吉は、大きい鞄の中から、出しにくそうに、白い角封筒を取り出した。「海軍省からの、でございますよ」
「なに、海軍省から!」
長造の顔は、サッと青ざめた。
「うむ」
彼は封筒の頭を截ると、一葉の海軍罫紙をひっぱり出した。長造の眼は、釘づけにでもされたように、その紙面の一点に止っていたが、軈てしずかに両眼は閉じられた。その合わせ目から、透明な水球がプツンと躍りだしたかと思うと、ポロリポロリと足許へ転落していった。
その紙面には、次のような文句があった。
戦死認定通知。
潜水艦伊号一〇一乗組
海軍一等機関兵 下田清二
右は去る五月十日午後四時頃、北米合衆国メーヤアイランド軍港附近に於て、爆雷を受け大破損の後、行方不明となりたる乗組艦と、運命を共にしたるものと信ぜらる。よりて茲に本官は戦死認定通知書を送付し、その忠烈に対し深厚なる敬意を表するものなり。
昭和十×年五月十三日
聯合艦隊司令長官
海軍大将男爵 大鳴門正彦
(とうとう、清二は殺られたか!)
「旦那」郵吉が、おずおずと声を出した。「もしや、悪い報せでも……」
郵吉は、陸海軍から出した戦死通知を、何十通となく、区内に配達してあるいた経験から、充分それと承知をしているのだったが……。