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くうしゅうそうそうきょく

空襲葬送曲

海野 十三

「朝日」1932(昭和7)年5月~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 95,012 字 · 189 页

青空文庫

はッはッはッ」

ルパシカ男は、短銃をポケットに収めた。

「では、戦争否定同盟の同志として、新たに命令する。大至急で、全国放送の用意をして呉れ給え」

局員は、たじたじとなった。

「帝都の空中襲撃が終るまで、放送するのは危険です。まるで電波で、帝都の在所を報らせるようなものですから」

「いいから、用意をし給え」

「それに軍部の命令……」

「もう一度、云って見給え。同盟の一員として判らなければ、物を云わせるぞ、君」

ルパシカ男は、頑強に反対する一局員の胸元に、短銃の口を、圧しつけた。

局員は、歯を喰いしばって、大きく肯いた。

「承知しました。では皆、命令に従って、放送機のスイッチを入れよう」

局員は、団員に守られて、機械室の方へ出ていった。

「おや、まだマスクを掛けている人があるじゃないか」団長はギョロリと、眼を光らせた。「もう瓦斯はないから、脱ぎ給え」

団員は、てんでに、マスクを脱いだ。

すると、そこには、驚くべき新事実が曝露したのだった。団員の中には、多数の婦人と、中学生女学生も交っていた。全体として見ても、団員は三十歳どまりの若い者ばかりだった。その中には、互に識り合った者もいた。