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くうしゅうけいほう
空襲警報
海野 十三
「少年倶楽部」別冊付録、大日本雄弁会講談社、1936(昭和11)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,838 字 · 92 页
「待たせたなァ。……では飛ばしてくれい」
爆々たる音響を残して、サイド・カーは街道を矢のように走りさった。目ざしてゆくのはこの直江津から南へ五キロほどいった高田連隊の高射砲隊だった。
義兄が出てゆくと、間もなくラジオの演芸放送がプツンと切れ、それに代って騒然たる雑音が入って来た。なんだかキンキン反響しているらしい。かすかではあるが、電話にかかっているらしい話声がする。どうやらそれは軍人らしい。活発な声だ、とたんに爆発するようなアナウンサーの声。……
「ただいま、重大なる事態が起りましたため、マイクロフォンを東部防衛司令部に移して皆様に呼びかけます……」
重大なる事態発生? 旗男は思わず受信機のダイヤルを音の強い方にひねった。そして隣の部屋を向いて、大声で姉を呼んだ。
「姉さん。たいへんですよ。早くここへ来て、放送をお聞きなさい」
「あら、いよいよ始まったの……」
姉は正坊をソッと寝かしつけて、立ってきた。
拡声器からは、声なじみの中内アナウンサーの声が一句一句強くハッキリと流れてくる……。
「まず第一に、香取防衛司令官の告諭であります。司令官閣下を御紹介いたします」