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くうしゅうけいほう
空襲警報
海野 十三
「少年倶楽部」別冊付録、大日本雄弁会講談社、1936(昭和11)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,838 字 · 92 页
それは奇妙な格好だった。だが誰も笑う者はなかった。尊い勇士たちの出陣だから……。
後車へ飛びこんでみると、そのむごたらしさは筆紙につくされないほど、ひどかった。とても、ここに書きしるす勇気がない。どうしてそんなにひどいことになったかというと、結局、その車室の目張が、言訳的におそまつにしてあり、それも力を合わせず、めいめい勝手にやったための失敗だった。彼等は、毒瓦斯をあまりにも馬鹿にしていたのだった。
七勇士は、できるだけ彼等を助けたけれど、結局、すぐ元気にかえったものはごくわずかだった。多くは、もう胸にひどい炎症が起り、苦悶はひどくなってゆく一方だった。
壜をくわえた勇士たちが、やがて部屋へ帰ってきて、口から壜を放したときには、皆いいあわせたように顔をしかめ、歯をおさえて、口をきく者もなかった。
「どうもつらい防毒面だ……」
やっと一人が口をきいた。他の勇士は、いたみとおかしさとの板ばさみになって、苦しそうに笑った。
「何しろ、我輩が発明したばかりの防毒面だからこたえたんだよ」
と鉄造は口の上から歯をもみながらいった。
「皆さん、お互に今後は、せめて直結式の市民用防毒面ぐらいはもっていることにしましょう。