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わらいについて

笑について

岸田 国士

「人生読本3」春陽堂書店、1954(昭和29)年6月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,526 字 · 13 页

青空文庫

つまりおかしくなることが度々あるのであります。

喜劇の一つの材料となるものに職業的滑稽とも言うべきものがあります。例えば、教師が余り教師くさいとか、坊さんが坊さん以外の何物でもないとか、裁判官がこち/\の裁判官とかいうような場合、それが、何となく滑稽に感じられるのは何故でしようか。この滑稽の要素の中には次のようなものがあると思います。

第一は、勿論、職業的習癖であります。知らず知らず、職業のくせが身についている。その中には、又、職業的虚栄心というものが含まつています。つまり、自分の職業に対する一種の自尊心であります。その習癖は、実に、関節不随のような症状を呈します。そして時によると、この症状は一種の冷酷さになります。この職業的習癖が、実に、職業的滑稽の本体であります。それをもう少し別の言葉で申しますと、或る職業のものは、ほかのみんなのように考えられなくなつている頭を持つている。みんなのように話し合えなくなつている立場を持つています。尚もう一歩進めて言うと、職業が公衆のためにあるのではなくて、公衆が職業のためにあるかのような姿を示すことがあります。