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わらいについて
笑について
岸田 国士
「人生読本3」春陽堂書店、1954(昭和29)年6月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,526 字 · 13 页
これは確かにおかしい現象です。
一つ例を挙げて見ます。これは、実話でありますが、或る婦人がお産のために評判のいい産科医院に入院しました。無事、男の子を産み落して一同はほつとしました。ところが産後の経過も大体いいということでありましたが、二週間ばかり経つて微熱が出た。なか/\微熱がとれません。そこで、その婦人の家族は心配して内科の専門医の診察を受けるように取計らいました。その専門医が来たときに婦人の夫と産科医も同席しました。その内科の先生は即座に肋膜と診断したのです。そして当分、絶対安静を命じました。すると産科の主治医は「産婦は三週間以上横になつたままでいるとちよつと困るのだ。その理由は、即ち、子宮後屈という病気が起る。ですから、どうしても三週間経てば起さなくちやいかん。」内科の先生はそれに対して頑として自説を固守して「いや/\、それは内科の医者としては絶対に起すことには反対だ。そうすると自分は、この婦人の病気に対して責任は持たん。」と言う。そこで、二人のお医者が互いに相譲らないで、論争をおつぱじめました。「内科医としては」「いや、産科医としては」